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UHF帯RFIDとは?その特徴をわかりやすく解説!

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UHF帯RFIDとは?その特徴をわかりやすく解説!
UHF帯は「Ultra High Frequency(極超短波帯)」の略で、860~960MHzの周波数を利用します。UHF帯は通信距離が長く、複数のタグを一括して読み取る能力や高速なデータ伝送が可能であることから、在庫管理や物流管理などの分野で広く利用されています。本コラムでは、UHF帯RFIDの特徴や動作原理についてわかりやすく解説します。


UHF帯RFIDとは?

UHF帯RFIDは、860~960MHzの周波数帯を使用する無線通信技術です。この技術は電波方式を採用しており、HF帯の電磁誘導方式に比べて通信距離が長いという特長があります。通信距離は数センチから数メートルに及び、一括で複数のタグを読み取ることが可能です。そのため、物流や在庫管理など、広範囲で効率的な読み取りが求められる場面で広く活用されています。通信速度も速く、大量のデータを迅速に処理できるため、アパレル業界や製造業界での活用が進んでいます。ただし、金属や水分の影響を受けやすいという課題もあるため、本コラムでそうした課題についても解説します。

1.UHF帯RFIDの特徴


通信距離

UHF帯RFIDは、通信距離が最大10m程度と非常に長いのが特徴です。これにより、離れた場所にあるタグを一括で読み取ることが可能となり、棚卸しや在庫管理の効率化に寄与します。

複数タグの一括読み取り

UHF帯RFIDは、広範囲に電波を発信するため、複数のタグを同時に読み取ることができます。この特性は、物流業界でのパレットやコンテナの管理、アパレル業界での大量商品の検品作業などにおいて特に有効です。

タグコスト

UHF帯RFタグは、製造コストが比較的低いため、大量導入がしやすいです。

2.UHF
帯RFIDの動作原理

電波方式

UHF帯RFIDは、リーダライタとRFタグの間で電波を利用し、エネルギー供給とデータ通信を行います。アンテナを形成している導線に電流が流れると、下図のように、空間に向けて電磁波が放射されます。この電磁波をRFタグのアンテナが受信し、RFタグ内で動作電力が生成されます(電波方式の原理)。これにより、RFタグ上のICチップが起電し、リーダライタとRFタグ間で交信が可能となります。


リーダライタとRFタグ間の通信

RFIDリーダライタとパソコンなどの上位機器に転送された情報をアプリケーションで処理することで、棚卸や在庫管理などの業務を短時間で行うことが可能になります。


3.偏波特性
RFIDリーダーの読み取り範囲は、アンテナの大きさや電波出力の大きさだけでなく、電波をどのように照射するかという偏波特性によっても変化します。RFIDリーダーのアンテナから照射される電波は“円偏波”と“直線波”という2つの偏波に分けられます。

直線偏波

直線偏波では、電波が特定の方向に直線的に振動します。この特性により、以下のような特徴があります。

特徴
読み取り距離: 電波が直線的に進むため、遠距離のRFIDタグを読み取るのに適しています。
読み取り範囲: 指向性が強いため、電波が特定の方向に集中します。そのため、タグの向きがアンテナと一致している必要があります。

用途
タグの向きが一定である環境(例:製造ラインや固定資産管理)。
読み取り範囲を限定したい場合(例:特定のエリア内のタグのみを読み取りたい場合)。

円偏波

円偏波では、電波が螺旋状に回転しながら進みます。この特性により、以下のような特徴があります。

特徴
読み取り距離: 電波が広がる分、直線偏波に比べて到達距離は短くなります。
読み取り範囲: 電波が多方向に広がるため、タグの向きに依存せず読み取ることが可能です。

用途
タグの向きが不規則な環境(例:物流倉庫や小売店舗の棚卸し)。
多数のタグを一括で読み取る必要がある場合(例:入出荷検品や在庫管理)。



4.UHF帯RFIDの技術的なポイント

1. 金属の影響

金属面に直接RFタグを貼り付けると、タグのアンテナと金属が一体化し、電界が消失して通信ができなくなります。


電波は金属面で反射します。反射波は直接波の逆位相となり、RFタグからアンテナへの応答波を打ち消します。そのため、応答波は弱くなり、通信距離が短くなります。



2. 液体の影響

RFタグの近くに液体があると、電波が液体に吸収されるため、タグに供給される電波が弱まります。その結果、タグが正常に動作できず、応答を返せなくなることがあります。(例:水分を含んだペットボトルや人体が近くにある場合、通信距離が短くなったり、通信自体ができなくなったりすることがあります。)



3. 電波干渉

UHF帯RFIDは、複数のリーダライタを近接した位置に配置してRFIDタグとの通信を行う場合、以下のような理由で電波干渉が発生し、読取精度が低下する、あるいは通信が完全にできなくなることがあります。

  • 複数のリーダライタから送信される電波をRFIDタグが同時に受信してしまう
    この場合、RFIDタグは正常な応答波を返すことができなくなります。

  • リーダライタがRFIDタグからの応答を受信する際に、他のリーダライタからの送信波に妨害される
    この影響で、リーダライタは正確な受信ができなくなります。



5.UHF帯RFIDの活用例

1. 棚卸の効率化

UHF帯RFIDを導入する最大のメリットは、棚卸しの効率化です。定期的な棚卸しでは、通常業務を一時中断し、従業員全員で在庫を確認します。この際、帳簿との整合性を保つために、数量を手入力する作業が発生します。RFIDは、箱の中にあるRFタグを箱の外から読むことができ、さらに複数のタグを同時にスキャンすることが可能です。そのため、箱を開けて中身を確認する必要がなくなり、一点ずつバーコードをスキャンする手間も省けます。RFIDを活用することで、商品データを一括で確認でき、在庫管理の精度と効率を大幅に向上させることができます。

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2. 検品の効率化

RFIDの導入により、材料や部品、商品の検品作業も大幅に効率化できます。従来の方法では、段ボールを開封し、内容物を納品リストや出荷リストと照合しながら、必要に応じてバーコードを一点一点スキャンする必要がありました。しかし、RFIDを活用すれば、段ボールを開けることなく内容物を確認でき、一括読み取りによって作業時間を大幅に短縮できます。これにより、入荷・出荷検品の効率向上が可能になります。さらに、物流倉庫などでは、リーダライタを搭載したゲートを設置することで、対象物が通過するだけで自動的にデータを読み取るシステムの構築も実現できます。

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3. 備品の紛失防止

備品の持ち出し管理において、RFIDは非常に効果的です。特に、社内で使用する情報端末や書類、工具といった重要備品の管理においては、従来の紙台帳に手書きで管理する方法が一般的ですが、この運用方法にはいくつかの課題があります。まず、記入漏れが発生することがあり、これにより備品が返却待ちなのか、紛失しているのかが不明確です。また、現状の在庫状況が不明瞭であるため、必要な時に必要な備品が手元にないという事態も起こり得ます。業務効率を低下させるだけではなく、企業のリスク管理にも影響します。そこでRFタグを備品に取り付け、持ち出し時にリーダーで読み取ることで、誰がどの備品を持ち出したかを正確に記録します。これにより、紛失や盗難のリスクを大幅に軽減できるだけでなく、管理の手間も大幅に削減されます。

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6.まとめ
UHF帯RFIDは、通信距離の長さや一括読み取り性能の高さを活かし、物流、製造業、アパレル業界など幅広い分野で活用されています。大量のタグを効率的に読み取る必要がある場面や広範囲でのデータ収集が求められる場面で特に優れた性能を発揮します。また、その通信性能の高さから、IoTやスマート物流の基盤技術としての役割が期待されています。技術の進化に伴い、金属や水分への耐性を強化したタグや温度取得が可能なセンサ付タグなど開発や、より高精度な読み取り技術の実現が進むことで、さらなる応用範囲の拡大が見込まれます。これにより、社会や産業における重要性は今後ますます高まることが予測されます。

タカヤのUHF帯RFID製品

ご使用するRFタグ、交信距離、設置環境などご利用シーンに合わせて、リーダライタとアンテナを組み合わせ使用可能です。豊富なラインナップから最適な組み合わせを選定いたします。


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タカヤは、25年以上にわたりRFIDリーダライタを製造してきた老舗メーカーです。当社は、信頼性の高い製品を提供するだけでなく、迅速に対応できるサポート体制を整えています。充実した製品資料や貸出用デモ機器は、国産メーカーならではの行き届いたサービスとして、多くのお客様から高く評価されています。またRFID技術は、施設の入退場管理、工場の工程管理、倉庫の入出荷検品など、さまざまな分野で活躍しています。私たちは、RFID技術を活用したデジタル化や業務改善に取り組みたい企業様に対し、最適な活用法をトータルで提案いたします。業務課題が明確になっているお客様、既存の運用に問題を感じているというお客様も、ぜひ一度タカヤにお問い合わせください。

 

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